
初夏の風物詩「柏餅」を本格的に手作りしよう
こんにちは、関西の和菓子職人「脱獄」です。GWの締めくくり、5月5日のこどもの日に欠かせないのが「柏餅」。この季節になると、和菓子屋の店頭に並ぶ香り高い柏餅を、皆さんも楽しみにされているのではないでしょうか。
工場で毎年何千個と作る柏餅ですが、家庭でも意外と簡単に本格的な味が楽しめるんです。今回は、プロの製法を家庭向けにアレンジした、本物の「柏餅」レシピをご紹介します。柏の葉の香りが漂う、もっちりとした食感の柏餅を作って、特別な端午の節句を迎えましょう。
柏餅の起源と歴史|なぜこどもの日に柏の葉で包むのか
柏餅の歴史は古く、江戸時代初期まで遡ります。端午の節句(現在のこどもの日)に、厄除けや無病息災を願って食べる風習として広まりました。
柏の葉に込められた意味
なぜ「柏の葉」で包むのでしょうか?これには深い意味があります。柏の木は「新芽が出ないと古い葉が落ちない」という特徴を持っています。これは「家系が途絶えない」「子孫繁栄」の象徴とされ、子どもの成長と健康を願う端午の節句にぴったりの植物だったのです。
また、柏の葉には防腐・抗菌作用があり、餅を長持ちさせる実用的な理由もありました。昔は冷蔵庫がなかった時代、この知恵が柏餅の誕生につながったのです。
地域による違い
関東では小麦粉を使った「長命寺系」と呼ばれる薄皮の柏餅が主流なのに対し、関西では今回ご紹介する米粉を使った「道明寺系」が一般的です。米粉で作るもっちりとした食感は、和菓子本来の味わいを楽しむことができます。
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本格柏餅の材料(10個分)
餅生地
- 米粉:128g
- 浮き粉(上新粉):23g
- 上白糖:75g
- 水:150g
- 塩:1g
餡と仕上げ
- こしあん:230g(1個分23g×10)
- 柏の葉:10枚(+予備2〜3枚)
必要な道具
- ボウル
- ざる(濾し器)
- 蒸し器
- キッチンスケール
- 打ち粉用の片栗粉
- 木べら
- まな板
- 包丁
柏餅の作り方|プロ直伝の本格レシピ
1. 生地の下準備
- ボウルに米粉128g、浮き粉23g、上白糖75gを入れ、水150gを加えながら均一になるまで混ぜます。
- 混ざったら、ざるなどで通して濾します。これにより、ダマのない滑らかな生地になります。
- 濾した生地から100gを別のボウルに取り分け、そこに塩1gを加えて混ぜておきます(これが後で加える「生生地」になります)。
2. 生地を蒸す
- 蒸し器を準備し、十分に沸騰させておきます。
- 取り分けた100g以外の生地を耐熱容器に入れ、蒸し器に入れます。
- 強火で約15分蒸します。この時、生地の色が変わり、白っぽいところがなくなるまでしっかり蒸すことがポイントです。
3. 生地をこねる
- 蒸しあがった生地を作業台に取り出します。
- 先ほど取っておいた生生地(塩入り)を加え、手早くこね合わせます。
- 餅のようにこねて、なめらかでまとまりのある生地にします。
- この生地を10等分(1個約32g)にして、丸めておきます。
4. 成形と餡入れ

- 手を水を濡らし、丸めた生地を楕円形に伸ばします。
- 中央に餡23gをのせ、両端を折り畳んで包みます。
- 包む際に、生地同士がしっかりくっつくように、優しく押さえましょう。
5. 二度蒸し
- 成形した柏餅を再び蒸し器に並べます。
- 中火で約12分蒸します。この「二度蒸し」が、プロの味の秘訣です。
6. 柏の葉で包む

- 蒸しあがったら、すぐに冷水をかけます。これにより生地が「しまり」、適度な弾力が生まれます。
- 水気をしっかり切り、粗熱が取れるまで少し置きます。
- きれいに洗って水気を拭いた柏の葉で、柏餅を包みます。
- 葉の光沢がある面(表)を内側にして包むのがポイントです。
柏餅を美味しく作るためのプロの技
生地作りのコツ
初めて柏餅を作る方が最も苦労するのが「生地の硬さ」です。プロから見ると、家庭で作る柏餅は「水分量」が難しいところ。以下のポイントに注意しましょう:
- 生地が硬すぎる場合は、少量の水を足して調整してください。
- 柔らかすぎる場合は、蒸し時間を少し長めにして水分を飛ばします。
- 「生生地」を加えるときは、生地が熱いうちに手早く混ぜることが重要です。
柏の葉の扱い方
柏の葉は事前に塩で軽く湯通しし、水で洗ってから使うとベターです。これにより、葉の風味が損なわれず、また衛生的にも安心です。
- 柏の葉がない場合は、市販の塩漬け柏の葉を使用してもOKです。
- 葉の向きは「表(光沢のある面)」を内側にすると、見栄えが良くなります。
- 葉で包む前に餅が熱すぎると葉が変色するので、適度に冷ましてから包みましょう。
柏餅のアレンジとバリエーション
餡のバリエーション
伝統的な柏餅はこしあんですが、以下のようなアレンジも楽しめます:
- 粒あん:小豆の粒感を楽しみたい方におすすめ
- 白あん:上品な甘さで子どもにも人気
- 抹茶あん:抹茶を混ぜたあんこで、見た目も鮮やかに
- 桜あん:塩漬け桜の葉を刻んで混ぜた春らしいあん
米粉の選び方
米粉は「上新粉」や「白玉粉」などいくつか種類がありますが、今回のレシピでは一般的な米粉と浮き粉(上新粉)を使用します。米粉の種類によって食感が変わりますので、自分好みの柏餅を見つけるのも楽しいですね。
柏餅の保存方法と賞味期限
柏餅は基本的に作りたてが一番美味しいですが、以下の方法で保存可能です:
- 常温:当日中に食べきるのがベスト
- 冷蔵:ラップで個別に包み、冷蔵庫で2〜3日保存可能
- 冷凍:ラップで包んでからさらに密閉袋に入れ、冷凍庫で約2週間保存可能
食べる際は、冷蔵したものは室温に戻し、冷凍したものは自然解凍または電子レンジで軽く温めてから召し上がれば、もっちり感が復活します。
まとめ:こどもの日の手作り柏餅で伝統を感じよう
柏餅は単なるお菓子ではなく、子孫繁栄や家族の健康を願う気持ちが込められた、日本の伝統文化そのものです。手作りの柏餅で、こどもの日をより特別なものにしてみませんか?
工場では大量生産の効率を優先しますが、家庭で作る柏餅には愛情という何よりも大切な材料が加わります。子どもと一緒に作れば、日本の伝統文化を次世代に伝える素晴らしい機会にもなります。
皆さんの手作り柏餅が、素敵なこどもの日の思い出となりますように。この春の風物詩、ぜひチャレンジしてみてください!
※柏餅作りに必要な厳選された米粉や浮き粉、高級あんこなどの材料は当サイトの通販ページでもお取り扱いしています。プロ仕様の材料で、より本格的な柏餅をお楽しみください。
よくある質問
Q: 柏の葉が手に入らない場合は?
A: 食品用の柏の葉は和菓子材料店やネット通販で購入できます。また、代用としてサランラップで包んでも問題ありません。
Q: 米粉と浮き粉の違いは何ですか?
A: 米粉は細かく挽いた粉で、浮き粉(上新粉)はより粒子が細かく、餅のような弾力を出すのに適しています。両方使うことで理想的な食感が生まれます。
Q: 二度蒸しはなぜ必要なのですか?
A: 二度蒸しにより、餡と生地が一体化し、また生地にもちもち感と弾力が出ます。プロの味にするための重要な工程です。
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