秋の風情を楽しむ「栗の羊羹がけ」の魅力
こんにちは、関西の和菓子職人「脱獄」です。今回は秋の味覚の王様「栗」を使った、見た目にも美しい「栗の羊羹がけ」をご紹介します。栗の形をした和菓子に透明感のある羊羹をコーティングした、この上品な一品は、お茶席はもちろん、秋のおもてなしにもぴったりの和菓子です。
実は工場の製造ラインではなかなか作る機会のない、職人技が光る一品。まさに「脱獄」して自分の店を持ったら絶対に出したい、そんな思い入れのある和菓子です。伝統的な技法と見た目のインパクトを兼ね備えた「栗の羊羹がけ」を、ご家庭でも作れるよう詳しくご紹介していきます。
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栗の羊羹がけ基本情報
- 難易度:★★★☆☆(中級者向け)
- 調理時間:約60分(冷やし固める時間を除く)
- 分量:約8個分
- カロリー:1個あたり約180kcal
材料リスト(8個分)
主材料
- 栗の渋皮煮:8個(むき栗やマロングラッセでも代用可)
- こしあん:200g
- 羊羹:100g(市販の小倉羊羹や煉羊羹)
- すり白ごま:大さじ1
道具
- 耐熱ボウル
- 湯煎用の鍋
- ゴムベラ
- ラップフィルム
- 網(羊羹をかけるとき用)
- バット
- 竹串
栗の羊羹がけの作り方
1. 下準備
こしあんの調整
- こしあんが硬すぎる場合は、少量の水で調整します。柔らかすぎる場合は、レンジで少し加熱して水分を飛ばしましょう。
- 手で成形しやすい固さになったら、8等分しておきます。
羊羹の準備
- 羊羹を1cm角程度に小さく切ります。
- 鍋に入れ、後で煮詰められるよう準備しておきます。
栗の準備
- 栗の渋皮煮は水気をキッチンペーパーでしっかり拭き取っておきます。
- むき栗やマロングラッセを使う場合も同様に、水気を拭き取ります。
2. 栗の形成形

- 作業台を清潔にし、手を洗います。
- 分けておいたこしあん1つを手のひらで平たく伸ばします。
- 中央に栗を置き、あんこで完全に包みます。
- 栗の形になるよう、底を平らにし、上部をやや尖らせるようにして成形します。
- 全ての栗についてこの作業を繰り返します。
- 成形した栗は、バットに並べて冷蔵庫で15分ほど冷やし、形を安定させます。
3. 羊羹がけの準備
- 焦げないように水を少し入れ羊羹を煮詰めます。
- ゴムベラで羊羹を潰しつつゆっくりかき混ぜながら、羊羹を完全に溶かします。
- 羊羹が滑らかになったら、へらで羊羹をたらし線が残るくらい(糖度計があれば65度くらい)まで煮詰めます。
4. 羊羹がけ


- 火を止めます。
- 網を鍋の上に置きます。
- 冷蔵庫から取り出した栗の形のあんこを一つずつ網の上に置きます。
- 溶かした羊羹を栗の上からゆっくりとかけていきます。全体をコーティングするイメージで。
- 余分な羊羹は網を通してバットに落ちます。
- 全ての栗にコーティングしたら、栗の底の方に箸を入れバットに移動します。
- 冷蔵庫で約30分間冷やし固めます。
5. 仕上げ

- 羊羹が固まったら取り出し、底に付いた余分な羊羹の縁を爪楊枝など尖ったものでなぞりカットします。
- 栗を手で持ち底部にすり白ごまをつけます。これが栗のヘタを表現する部分です。
- 栗らしさを出すため、表面に竹串で軽く筋を入れる細工を施すとより本物らしくなります。
6. 盛り付け
- 涼しげな青磁の器や、黒や朱色の器に盛り付けると、栗の美しさが引き立ちます。
- 必要に応じて、もみじの葉や銀杏の葉などを添えると、より秋らしい雰囲気になります。
栗の渋皮煮の栄養価と健康効果
栗の栄養素
栗は「木の上のお餅」とも呼ばれるほど炭水化物が豊富な果実ですが、他の木の実と比べて脂質が少なく、ビタミンやミネラルを多く含んでいます。
- ビタミンC:果物並みのビタミンCを含み、加熱しても壊れにくい特徴があります
- ビタミンB1、B2:疲労回復や代謝促進に役立ちます
- カリウム:体内の余分な塩分排出を助け、浮腫み解消に効果的です
- 食物繊維:腸内環境を整え、便秘解消に役立ちます
渋皮のタンニンの効能
栗の渋皮に含まれるタンニンは、以下のような健康効果が期待できる成分です:
- 抗酸化作用:体内の活性酸素を除去し、老化や疾病予防に役立ちます
- 抗菌・殺菌作用:腸内の有害菌の繁殖を抑え、下痢や食中毒予防に効果的です
- 血管強化:毛細血管を丈夫にし、出血予防や血流改善をサポートします
- 収斂作用:皮膚や粘膜を引き締め、炎症を抑える効果があります
渋皮煮にすることで、このタンニンの苦味が和らぎながらも、栄養素は残るので、美味しく健康効果も得られる理想的な調理法と言えます。
栗の羊羹がけのアレンジと楽しみ方
素材のアレンジ
- 栗の代わりに:小さな和栗の甘露煮、または自家製の甘露煮を使用すると、より本格的な味わいに
- 羊羹の種類:水羊羹を使えば透明感が増し、夏から初秋にかけてピッタリの一品に
- あんこの種類:こしあんの代わりに白あんを使うと、少しあっさりとした味わいになります
- トッピング:白ごまの代わりに黒ごまや金箔を使うと、高級感がアップします
季節の楽しみ方
- 初秋(9月):少し透明度の高い水羊羹タイプがおすすめ
- 中秋(10月):標準的な羊羹の固さで作るのがベスト
- 晩秋(11月):少し濃い目の羊羹を使い、コクのある味わいに
お茶との合わせ方
- 煎茶:さっぱりとした煎茶は、栗の甘さを引き立てます
- ほうじ茶:香ばしいほうじ茶は、栗の風味と相性抜群
- 玉露:特別なおもてなしの際は、上品な玉露と合わせると格式高く
失敗しないためのポイントとコツ
よくある失敗と対策
- 羊羹が固まらない
- 対策:羊羹を溶かす水が多すぎると固まりにくくなるので最初は最小限にし、焦げ付きそうであれば足していくようにしましょう
- 冷やす時間を十分に取ることも大切です
- あんこから栗が見える
- 対策:こしあんの量を増やすか、薄い部分を補強してから羊羹をかけましょう
- 上から羊羹を丁寧にかければ包む段階で栗が見えてても隠せます
- 羊羹の表面がムラになる
- 対策:羊羹は一度で均一にかけるのがコツ。温度が均一なうちに手早く作業しましょう
- 1つずつ完全に羊羹をかけていきましょう
プロの技
製造現場では見られない、職人ならではの技をいくつかご紹介します:
- 羊羹の温度管理:65℃前後が最適。糖度計を使うとより確実に
- あんこの練り方:こしあんを手のひらで少し練ると、より滑らかな食感に
- 保存方法:乾燥を防ぐため、一つずつラップで包み、冷蔵庫で保存すると3日ほど美味しく食べられます
まとめ:秋の手作り和菓子を楽しもう
栗の羊羹がけは、見た目の美しさと、食べた時の羊羹と餡の二つの食感が楽しめる、秋にぴったりの和菓子です。工場の大量生産ではなかなか味わえない、職人技が光る一品を、ぜひご家庭でも作ってみてください。
栗の渋皮に含まれるタンニンの健康効果も楽しみながら、日本の伝統的な和菓子文化を味わってみませんか?秋の夜長、家族や友人とお茶を楽しむひとときに、ぜひ手作りの栗の羊羹がけを添えてみてください。
本格的な和菓子づくりに挑戦することで、日本の四季と文化をより深く感じられることでしょう。皆さんの栗の羊羹がけ作り、応援しています!
※このレシピに使用する和菓子材料は当サイトの通販ページでもお求めいただけます。特に厳選した栗の渋皮煮と高級羊羹は、プロ仕様の味わいをご家庭でも楽しめる逸品です。
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